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人は一生に一度胸おどる旅にでる
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さて、キャラメイクと街作りが終わると、いよいよセッション本編の始まりです。

今回の旅人はこの4人。
衝動的に旅に出た商人・コルト(男、19歳 マーチャント マジックタイプ/夏)
成人の儀式として獲物を狩り続ける狩人・マケレレ(男、15歳 ハンター アタックタイプ)
巡礼の旅に出ている薬剤師・クレスト(男、19歳 ヒーラー マジックタイプ/春)
酒に目がない吟遊詩人・アイラ(女、18歳 ミンストレル マジックタイプ/秋)

ある秋の日に砂漠のオアシスで出会った4人は、それぞれの目的はあれど、
同行者として旅を続けていました。

 ◆ ◆ ◆

今回の旅の目的地は、
街作りによって決まった「ビールの名産地・ウィンドランド」です。

早秋の街道を歩く4人の旅人たちは、全員が酒好きという設定で
(皮袋の中の水も酒だと主張)昼間から酒を飲んで酔っ払い、体調が悪いのを
二日酔いのせいにしています。

そこへ突然現れたのは、ネコゴブリンの山賊団
ネコゴブリンとは、二足歩行するネコそっくりのモンスターで、
世界中で盗みなどの悪さをしている種族です。

PC 「ネコゴブリン…ジャムに出来ますか?」
GM 「いや、知的種族は食べられませんから(汗)」

などという和やかな(?)会話を繰り広げながら、ネコゴブリンを一蹴する旅人たち。
おまけに、酔っている旅人たちはネコゴブリンが腰からぶら下げていた魚の干物を
「酒の肴に…」と奪いだす始末です。
そんなこんなで敵を撃退し、酒の肴も手に入れ、ホクホクしながら歩き続ける一行。
あと少しでウィンドランドに着くというところで、一行は自分達をじっと見つめる
視線に気づきました。

繁みを覗いてみると、そこにいたのはコネコゴブリンの少年でした。
コネコゴブリンとは、ネコゴブリンからいつも奴隷のように扱われ、
いじめられている可哀相な種族です。
コネコゴブリンの少年は旅人たちに気づかれたと分かると、一目散に逃げてしまいました。
彼のことは気になりつつも、お酒の誘惑に負けた一行はウィンドランドに向かいます。

到着したウィンドランドは、収穫祭の真っ最中!

清々しい秋空の下、楽しげに酒を酌み交わしていた村人たちは、旅人にも
お酒を振舞ってくれます。
マケレレは男達と肩を組んで酒を飲み、アイラは酒場で音楽を奏で、
クレストは広場で人々と踊り、コルトは稼ぎ時とばかりに商談を始め…
旅人たちは村の収穫祭を大いに楽しみます。

こうしてプレイヤーさんたちが状況を楽しんでくれると、GMもロールプレイに熱が入ります。

祭りを楽しんでいた一行は、酒場で出会った村長からビールのフレーバーに使う
金色のグミ」を探して欲しいと頼まれます。
なんでも、毎年それを村に届けてくれていたハンターの老人は事故で死んでしまい、
村人達は収穫の時期で忙しくて出られないと言うのです。
そして、「金色のグミ」は村から2日ほど歩いた所にある岩場にしか生えていないとのこと。

酒好きな旅人たちは、今年作られたばかりのビールをもらう事を条件に、
その依頼を受けることにしました。

翌日。
遅くまで酒宴をしていた旅人たちは、二日酔いに悩まされつつも何とか出発。
旅立ってしばらくした頃、旅人たちはまたしても視線を感じます。
様子を伺っていると、旅人たちの前に昨日見かけたコネコゴブリンの少年が現れました。

少年の名前はコタロー。
コタローは岩場を根城としていたハンター(村にグミを届けていた老人)の弟子で、
師匠である老ハンターの敵討ちに連れて行って欲しいと頼みます。
実は、ハンターの老人が死んだのは事故ではなく、岩場に棲むモンスターから
コタローを庇ったせいだったのです。
同じハンターのマケレレはコタローの心意気に感じ入り、一行はコタローを連れて
東の岩場に向かいます。

ここでコタローが邪険に扱われずにGMは一安心です。

いよいよ、コタローの先導で旅人たちは岩場に入ります。
道は一気に急勾配になり、歩くというよりも登るようにして進む一行。
珍しい薬草を手に入れてホクホク顔のクレストでしたが、アイラが途中の判定に失敗し、
岩場から落下して腰を打ってしまい、今採ったばかりの薬草を使って治療することに…。

そうこうしながらも、何とか目的のグミが生える岩場に到着です!
が、安心したのもつかの間、岩場の上から巨大な生き物が襲い掛かってきました。
全身が岩で出来た巨大なトカゲ、“岩喰らい”です。
固い皮膚を持ち、凄まじい力で大暴れする“岩喰らい”に一行は苦戦しますが、
コタローの弓と春・夏・秋の魔法の援護もあり、どうにか仕留めることができました。

PCたちに何度も何度もお礼を言うコタロー。
ただ、コタローは師匠が死んだ今、どうするかは決めていないとのこと。
ここでハンターのマケレレがコタローに「自分の弟子にならないか」と誘いました。
ハンターとしてまだまだ未熟なコタローは、
「“岩喰らい”を倒した旅人たちのように強くなりたい。
 いつか師匠のようなハンターになりたい」
と、マケレレの弟子となることを了承したのでした。

こうして新たな旅の同行者を迎えた一行は、村に戻って報酬を受け取ると、
早々に次の街に旅立つ準備を始めます。
収穫祭も楽しんだし、この村のビールも十分に堪能した。さて、次はどこの酒を飲みに行こうか?
などと話し合っています。
何だか旅の目的が変わっているような気もしますが、それもまた旅の醍醐味でしょう。

秋の昼下がり、
ウィンドランドを後にした一行は、コタローに荷馬車の御者をさせながら、
荷台の干草の上で報酬としてもらったビールの樽を開けて乾杯をするのでした――。

 ◆ ◆ ◆

今回のセッションは、最初は、お酒がこれほどまでにシナリオに絡んでくるとは
思ってもみませんでした。
GM一人ではこの設定は生まれてこなかったことでしょう。
プレイヤーさん達が楽しそうにお酒を飲むロールプレイをしているのを見て、
GMはその設定をシナリオに反映させました。
例えば「金色のグミ」は元のシナリオではただの薬草でしたが、お酒を絡めた結果、
ビールを作るのに使うハーブということになりました。

こんな風に「りゅうたま」はGMとプレイヤーが世界を作っていくゲームです

プレイヤーが望む街が、行きたい場所がそのまま、
「りゅうたま」冒険の舞台となる
のです。
みなさんもぜひ、自分達だけの「りゅうたま」の世界を作り、そして楽しんでください。

最後になりましたが、
参加して下さったプレイヤーのみなさま、どうもありがとうございました!

(松川)

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